概要
個人事業主が廃業する場合、手続きとしては、税務署などへの書類を提出するだけで、廃業が可能です。
本稿では、税務署への手続きを中心に、説明したいと思います。
税務手続き
税務手続きとしては、税務署にいくつかの書類を提出する必要があります。
個人事業の廃業届出書
必ず提出する必要があるものとして、「個人事業の廃業届出書」があります。
期限としては、事業廃止から1か月以内となっています。
青色申告の取りやめ届出書(青色申告をしている場合)
青色申告をしている場合には、「青色申告の取りやめ届出書」を提出します。
期限は、申告取りやめの翌年3月15日までとなっています。
国税庁「[手続名]所得税の青色申告の取りやめ手続」
所得税の予定納税額の減額申請書
予定納税をしており、廃業を行うにあたり、税金が予定納税額に満たないと予想されることがあります。
この場合には、「所得税の予定納税額の減額申請書」を提出します。
期限は、1期分は廃業事業年度の7月1日~15日、2期分は11月1日~15日となっています。
国税庁「[手続名]所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続」
給与支払い事務所等の廃止届出書(従業員を雇用している場合)
従業員を雇用しているときには、従業員を解雇後に、「給与支払い事務所等の廃止届出書」を提出します。
期限は、事業廃止から1か月以内となっています。
国税庁「[手続名]給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」
事業廃止届出書(消費税)
消費税の課税事業者は、「事業廃止届出書」を提出します。
期限は、事業廃止後速やかに行う必要があります。
国税庁「[手続名]事業廃止届出手続」
その他の手続き
確定申告
廃業にあたり、確定申告が必要になります。
年度の途中で、廃業すれば、その際に確定申告を行うことになり、12月31日まで事業を続ければ、例年通りの確定申告となります。
なお、所得税法上、「事業を廃止した場合の必要経費の特例」が認められており、廃業した事業について、翌年以降に生じる必要経費は、「未払費用」として計上し、その事業廃止年度に費用計上できます。
また、確定申告時には分からず、事業廃止後に判明した経費があれば、「更生の請求」を行うことで、決算額を算出しなおすことができます。
国税庁「[手続名]所得税及び復興特別所得税の更正の請求手続」
このように経費をできるだけ申告すれば、その分、税金の還付が受けられる可能性があるので、注意が必要です。
都道府県民税等
上記は、税務署への提出書類ですが、都道府県民事務所などの地方自治体へも書類の提出が必要です。
保険
従業員を雇用しており、社会保険などに加入しているときには、手続きが必要となります。
許認可
許認可を受けて事業を実施しているときには、それらを所管している行政機関への手続きが必要です。
参考
竹田哲男『自分の会社を廃業する手続のすべて』
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