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日本政策金融公庫の創業計画書における各項目について、その見方・書き方を解説

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こんな方におすすめ

 創業を考えている人が融資を受けるにあたって、定番は日本政策金融公庫からの借入だと思います。
 そして、融資にあたっては、創業計画書の作成が求められます。

 公庫のサイトには、見本や手引きがありますが、本音と建前があったり、実務的にはあまり使わないような説明があったりもしています。

 私は公庫で審査業務をやったことはないのですが、これまで多くの創業をサポートしてきた中で、創業計画書の各項目について、

 「その項目で何を知りたいのか」
 「どのような点を公庫が見ているのか」

などを説明したいと思います。

 創業計画書の作成が必要な方は、是非とも参考にしていただければと思います。

各項目について

 次から、創業計画書の各項目について、説明したいと思います。

1 創業の動機

 この部分については、正直どうでもいい感じです。
 中には、一生懸命、思いを書く方もいますが、あまり意味はないように思います(ただ熱意は重要であり、公庫との面談の際には、しっかりと対応してください)。

 ただ、非常識な理由であったりするのは避けたいです。また、「2 経営者の略歴等」との関連で、これまでやってきたことと大きく違いがある場合は、説明が必要です。
 例えば、警備員をやっていた人が、ネイルサロンを始めるとなると、「なんで?」という話になるので、その説明は必要です。

2 経営者の略歴等

経歴欄
 正直に書いてください。
 ただ、「1 創業の動機」で述べたように、経歴と創業する事業が大きく異なる場合は、「1 創業の動機」でしっかり説明してください。

過去の事業経験
 通常は、「事業を経営していたことはない」になるので、ここもあまり重要ではありません。

 ただ、「事業を経営していたことがあり、現在もその事業を続けている」「事業を経営していたことがあるが、既にその事業をやめている」に該当するようならば、要注意です。
 経営をしているならば、創業なのかどうかがポイントになりますし、やめているならば、その辞め方や倒産などの事故があったかどうかがポイントになるからです。

取得資格
 ここもあまり重要ではありません。

 ただ、創業にあたり、必要な資格があるならば、その有無をチェックされるという形です。また、資格がなくても、創業後に容易に取得できれば、そのあたりは問題はないですし、面接で説明をすれば問題はありません。
 例えば、飲食店を開業すれば、「食品衛生責任者」の資格は必要ですが、開業後に取得しても問題はなく、講習を受ければいいので問題はない形になります。

知的財産権等
 ここもあまり重要ではありません。

 ただ、やろうとしている事業について、この知的財産権の有無が大きな影響があるならば、説明が必要です。
 例えば、ある知的財産権がないと事業ができないとか、すぐに模倣され事業が行き詰まる可能性があるならば、ここの部分は重要となります。

3 取扱商品・サービス

 ここの部分は、創業計画書の中でも、重要なポイントの一つです。4つの項目がありますが、どれも重要ですので、しっかりと抑える必要があります。

取扱商品・サービスの内容
 どのようなものを売るのかという点で、しっかりと説明が必要です。
 客単価にもかかわるので、「8 事業の見通し(月平均)」との齟齬がないかにも注意が必要です。

 通常は、この欄だけでは書き切れないので、別紙を用意したほうがいいです。
 例えば、飲食店ならば、メニュー表を別紙として、用意する形です。

 なお、別紙全般について、「創業計画書の作成にあたっては、是非とも別紙を準備」でまとめています。

セールスポイント
 セールスポイントというと難しい点が多いと思います。

 ここでのポイントは、すごいセールスポイントを求めているわけではありません。ただ、通常は競合などがいる中で、どのように差別化・優位化を図るかを説明することになります。
 そのため、「販売ターゲット」「競合・市場など企業を取り巻く状況」と合わせて、この部分は説明することになります。

 例えば、焼肉の需要があり、その地域に焼肉屋がなければ、この部分は大きな問題にはなりません。

販売ターゲット・販売戦略
 販売ターゲットについては、ターゲットという言葉を見ると、「どう絞り込むか」という印象を受けます。しかし、ここで重要なのは、市場動向・競合相手がいる中で、「8 事業の見通し(月平均)」の顧客数を達成できそうかということです。

 販売戦略は、必須です。
 公庫の「洋風居酒屋」の記入例では説明はありませんが、しっかりと説明してください。
 「7 必要な資金と調達方法」で広告費を入れながら、ここの欄で空欄なのはありえませんので、「7 必要な資金と調達方法」との一貫性も問われます。

競合・市場など企業を取り巻く状況
 しっかりと市場調査をする必要はありませんが、「セールスポイント」「販売ターゲット・販売戦略」との関係で、説明が必要です。

4 取引先・取引関係等

販売先
 個人を相手にし、特別なビジネスでなければ、通常は、創業にあたり、顧客はあまりいないので、気にする必要はありません。ただ、法人向けだとすぐに顧客が付くのか、特別なビジネスならば、本当に顧客がいるのかという点で、説明が必要になります。

 また逆に言えば、見込客などがいれば、しっかりと説明しておく部分です。

仕入先
 ここの部分は、創業後、事業の運営として、うまくいくかどうかという視点で判断されます。
 仕入れが必要な事業については、仕入れがうまくいかなければ、事業として成立しないためです。

 また、仕入れコストが嵩むようなところから、仕入れとなると「8 事業の見通し(月平均)」に関わってくるので、注意してください。
 例えば、飲食店で、スーパーから仕入れとなると、どうしても原価が上がるので、大丈夫かという印象を受けますし、ビジネスとしてしっかりとやっていく気があるのかということになります。

外注先
 「仕入先」と同じような観点です。

人件費の支払
 あまり意味はありませんので、無視していいです。
 ただ、人を雇うとなると、労働基準法などの法的な問題が出てくるので、法令順守しているかどうかという形でのチェックという話です。

5 従業員

 事業に対して、その人数でやっていけるのかをチェックされます。
 また、「8 事業の見通し(月平均)」として、この従業員数とコストが見合っているか、数字として齟齬がないかが重要になります。

6 お借入の状況

 ここは、変なところから借金がないか、ブラックリストに載ってないかなどがチェックされるところです。

 また、創業者が生活としてやっていけるかという点も見られるところです。
 例えば、創業後、月額30万円の所得を得られても、個人的な借金で月額40万円の返済が必要ならば、生活としてはやっていけませんし、融資としては事業に使われず、生活費に流用される可能性があるので、危険という話になります。

7 必要な資金と調達方法

 ここの部分は、融資額に関係するので、非常に重要です。

必要な資金
 資金使途が問われるので、設備資金は見積もり、運転資金はその使い方の説明が必要です。
 特に、お金自体には色はありませんが、設備資金と運転資金は別物なので、要注意してください。

 運転資金に関する注意点としては、「創業を考える人必見! 創業資金の運転資金過少問題」でご確認ください。

調達の方法
 ここでは、融資額として必要な資金を説明することになるので、最も重要と言えるのかもしれません。
 そして同時に、自己資金額なども見られるので、絶対的に注意すべき点です。

 ただ、通帳のトレースもされる場合もあり、自己資金を厚めに見せるため、変なことをやってはNGです。

8 事業の見通し(月平均)

 ここは、上記でいろいろとせつめいしてきたことを、数字で説明する部分です。
 数字が苦手な創業者は、辛い部分かもしれませんが、しっかりと押さえておきたいです。ですので、できたら別紙で説明したいところです。

 なお、計画書では、利益までを求める形になってますが、利益として黒字なだけではダメです。
 融資として、返済も考えなければならないので、この利益から、返済ができるかどうかも判断されるので、注意してください。

9 自由記述欄

 はっきり言って、無記入で十分です。

まとめ

 正直言えば、有料級の内容ではないかと思っています。

 ただ本当に思うのは、このようなテクニックよりは、創業後の事業として、いかにうまくいくか、顧客の満足度を高めるにはどうするかを考えてほしいと感じています。

 そうでなければ、融資を受け資金調達できても、早々に事業としては立ち行かなくなることが目に見えているからです。

 逆に言えば、創業後の事業として、いかにうまくいくか、顧客の満足度を高めるかを考えている方々が、詰まらない資金調達のテクニックで躓かないように、参考にしていただければと思います。

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