株主総会の決議の種類
株主総会については、次のような決議の種類があります。
・普通決議
・特別決議
・特殊決議
これらについて、定足数・決議方法・決議対象に分けて、それぞれを説明します。
なお、定足数とは、株主総会に参加した株主の議決権の総数のことです。定足数により、株主総会が成立しない・無効になる場合があります。野球で言えば、いくらチームが強くても、9人選手がいなければ、試合に出場できないようなものです。
普通決議
一般的な決議で、株式は過半数もっている必要があるというのは、この決議によります。
【定足数】
総株主の議決権の過半数
(ただし、定款により撤廃が可能だが、役員の選任・解任は1/3が下限)
【決議方法】
出席した株主が保有する議決権の過半数の賛成
【決議対象】
・取締役・監査役の選任
・取締役の解任(監査役の解任は特別決議なので注意)
・取締役・監査役の報酬の決定
・計算書類や利益分配の承認
・準備金の減少
特別決議
主に株式会社の組織に関することなど、会社の根幹にかかることに求められる決議です。
よく株式を2/3以上保持していれば、問題ないとされるのは、この決議に基づく考えです。
【定足数】
総株主の議決権の過半数
(ただし、定款により1/3以上までと引下げ可能)
【決議方法】
出席した株主が保有する議決権の2/3以上の賛成
(定款により、一定数以上の株主の賛成を要する旨その他の要件を定めることが可能)
【決議対象】
・株式譲渡制限会社における第三者割当の募集株式・新株予約権の発行
・特定の株主からの株主との合意による自己株式(金庫株)の取得
・相続人等に対する売渡の請求
・定款変更(譲渡制限の設定にかかるものは特殊決議)
・事業譲渡
・解散
・組織変更
・再編(合併、会社分割、株式交換、株式移転)
・減資
・現物配当
・監査役の解任
・取締役・監査役の責任の一部免除
特殊決議
譲渡制限株式に関する決議となっています。
定足数が、(総株主の議決権の過半数ではなく)総株主の半数以上となるなど、特別決議よりも、条件が厳しくなっています。
【定足数】
総株主の半数以上
(ただし、定款で要件を引き上げることが可能)
【決議方法】
総株主の議決権の2/3以上の賛成
(ただし、定款で要件を引き上げることが可能)
【決議対象】
・株式譲渡制限の設定
・合併により消滅する株式会社または株式交換する株式会社が公開会社で、その株主に譲渡制限株式を交付する場合
・合併または株式移転する株式会社が公開会社で、その株主に譲渡制限株式を交付する場合
・株主の人的属性に基づき権利内容に差をつける場合(ただし、決議においては、3/4以上の賛成が必要)
まとめ
中小企業で1人会社の場合などは問題はありませんが、複数人で会社を興す場合や事業承継で株式が分散化している場合には、これらのことは重要です。
参考
田儀雅芳『非公開会社の自社株のしくみがわかる本』
コメント