はじめに
マーケティングを行うにあたり、漠然とした大きな市場を考えては、うまくいきません。
まずは、どのような市場を狙うのか、セグメンテーションを行い、市場の細分化を行うことが必要となります。
ただ、このセグメンテーションにおいて、どのような視点で行えばいいのか迷うことになると思います。
このときに使われるのが、「セグメンテーション変数」となります。
セグメンテーション変数
セグメンテーション変数としては、コトラーとアームストロングによると、一般的に、次のようなものがあるとされます。
・地理的変数
地域、郡の規模、市・大都市、人口密度、気候
・人口動態変数
年齢、性別、世帯規模、ファミリー・ライフスタイル、所得、職業、教育、宗教、人種、国籍
・サイコグラフィック変数
社会階層、ライフスタイル、パーソナリティ
・行動変数
購買状況、使用者タイプ、ロイヤルティ・タイプ、求めるベネフィット、使用率、購買準備段階、製品に対する態度
ただ更にこれらについては、ウェーデルとカマクラによると、観測可能かどうか、一般的なものかどうかで、次のように分類できるとされます。
一般的な変数 | 製品・店舗固有の変数 | |
---|---|---|
観測可能 |
地理的変数 人口統計的変数 |
使用頻度 ロイヤルティ(ブランド・店舗) 採用時期 消費・利用・購買状況 |
観測困難 |
パーソナリティ 生活価値観 ライフスタイル |
価格(プロモーション)弾力性 知覚便益 購買意図 |
なぜ、ここでこのような分類が必要かを考えましょう。
一般的な変数と製品・店舗固有の変数については、事業やプラン検討の進捗によって、用いる変数が異なるからです。新事業・新製品などの検討段階においてマーケティングを行う場合には、一般的な変数を用いることになり、逆に具体的な製品・店舗などを検討することになったときには、製品・店舗固有の変数が重要となります。
次に、観測が可能か困難については、観測が可能なものは問題はありませんが、困難なものは注意が必要となります。
観測困難なものはそのままではデータを入手できないため、データを加工したり、代替的な変数を用いたり、独自で調査が必要になります。
なお、いずれのセグメンテーション変数についても、どのように解釈するかは、注意が必要となります。
例えば、年齢ごとの人口に関する統計データを得ることはできます。そこで、高齢者をセグメントしようとしたときに、統計的には65歳以上が高齢者となるわけですが、昔の高齢者と今の高齢者は異なることから、単純にその高齢者のデータを使うのがいいのかは検討が必要となります。
ロイヤルティについても、購買率のデータが得られたとしても、50%以上でロイヤルティが高いのか、75%以上ならばロイヤルティが高いと言えるのかは、考える必要があります。
まとめ
いずれにせよ、セグメンテーションを考えるとき、どのような視点で考えていくのは重要です。
上記のものは、抽象的な要素が強いので、そのまま使うことはできませんが、上記のような視点で、更にブレークダウンして自分の会社・事業で、どのような変数を設定するのかを考えてはいかがでしょうか。
参考
岸志津江・田中洋・嶋村和恵『現代広告論』
上田雅夫・生田目崇『マーケティング・エンジニアリング入門』
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