概要
ある商品・サービスなどについて、ブランドがあるのとないのとでは、その商品・サービスの価値は異なってきます。
何となくは分かるのですが、これを整理したのが「ブランドエクイティ」という考えです。
ブランドエクイティとは、ブランド研究の第1人者であるアーサー氏によると
「ブランド、その名前やシンボルと結びついたブランドの資産と負債の集合」
と定義されます。
つまり、ブランド自体にある種の資産性を認め、いかにブランドという資産を向上させるかが重要ということです。
ブランドエクイティ
ブランド力を上げようと思っても、「ブランドエクイティを上げればいい」というだけでは、トートロジーに陥ります。
もっと具体的に、どのような観点で、ブランドというものを捉えるかを考え、その観点に基づいて、ブランド力を上げるべくアプローチを図る必要があります。
そこで、ブランドエクイティについては、次の5つのカテゴリーで構成されるとされます。
①ブランドロイヤリティ
ブランドロイヤリティとは、あるブランドに対して顧客がどれだけ忠誠心(ロイヤリティ)を有しているかということです。
(ブランドロイヤリティについては、「ブランドロイヤリティのピラミッド」を参考にしてください)
言い換えれば、既存顧客やリピーターが、どれだけ他の商品・サービス(ブランド)に浮気せず、あるブランドの商品・サービスを購入・利用するかということです。
新規顧客開拓は、既存顧客を維持するのに比べて、何倍ものコストがかかり、既存顧客からのほうが収益は上がりやすい面があるため、このブランドロイヤリティを維持・向上させるかは重要になります。
②名前の認知
名前の認知とは、ブランドの知名度・認識度のことです。
知っている商品・サービスと聞いたことのない商品・サービスでは、前者のほうがはるかに、顧客は安心して購入・利用できます。逆に、この名前の認知が不十分では、顧客は、他社の商品・サービスとは区別ができないため、ブランドそのものの機能を発揮することはできません。
③知覚品質
知覚品質とは、顧客がブランドに対して認識している品質のことです。
言い換えれば、顧客が認識する商品力やサービス水準ともいえるでしょう。当然ながら、顧客の評価が低い商品力やサービス水準では、ブランドエクイティも落ちてしまいます。下手をすると、マイナスのブランドエクイティとなるでしょう(上記の定義で、「負債」も含まれていることに注意してください)。
このことから、知覚品質が高まれば、ブランドエクイティも高まり、知覚品質が低ければ、ブランドエクイティはプラスになるどころか、マイナスにもなりかねないということです。
④ブランド連想
ブランド連想とは、ブランドにより、連想されるイメージのことです。
ブランドは、単に商品・サービスの品質などを表しているわけではなく、「かっこいい」「おしゃれ」「先進的」などのある種のイメージも付加されます。
このイメージにより、単に商品・サービスを購入・利用する以上の価値を、顧客に提供でき、逆に顧客はこのイメージで購買行動を変化させます。
⑤他の所有権のあるブランド資産
他の所有権のあるブランド資産とは、簡単に言えば、特許権や商標権などの知的財産権のことです。
これらがないと、ブランド力があっても、ライバル企業がそれらの権利を所有すれば、そのブランドは維持できません。
逆に、知的財産権を有していれば、ライバル企業からの攻撃を防ぐことができます。
まとめ
ブランドというものを考えたとき、ブランドエクイティという考えは重要です。
特に、上記の5つのカテゴリーを意識して、それぞれで対策を検討していくことで、ブランド力というものを確立でき、他社以上の収益を得られることになるでしょう。
参考
榛沢明浩『図解 ブランドマネジメント』
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