はじめに
バス・モデルとは、購買にあたり革新者と模倣者を想定し、それらの度合いで、どのように製品が市場で普及していくかという数式モデルです。
数式モデルでややこしい感じがありますが、数式モデル化することで解析したり、実際の数字データに基づき推計できたりもすることができます。
本稿では、このバス・モデルについて、数式で説明をしたいと思います。
バス・モデル
ある製品について、その市場規模を $ M$、$ t$ 期までの累積購入者を $ N_t$ とします。
このとき、$ t$ 期の未購入者は、次のように表すことができます。
$ M – N_t$
この未購入者は、次にこの製品を購入するかどうかを検討することになります。
ただ、購入にあたり、革新者と模倣者の2つのタイプがいると仮定します。
革新者と模倣者に関する係数を$ p \, , \, q$ とすると、次期にそれぞれの購入する者は、
革新者 : $ p (M – N_t)$
模倣者 : $ \dfrac{N_t}{M} q$
と表すことができます。
未購入者のうち、革新者は一定の割合で購入するものとし、模倣者は購入者の比率が高くなるほど購入する者が多くなるという式になっています。
そこで、$ t$ 期における購入者を$ n_t$ とすると、
$ n_t = (M – N_{t-1}) \times \left( p + \dfrac{N_t}{M} q \right)$
となります。
これがバス・モデルの数式モデルになります。
推計方法
上記の式で、パラメーター $ p \, , \, q$ などを動かせば、どのように製品が普及していくかの挙動を負うことができますが、実際の製品でどうなるかが気になるところです。
そこで、上記の式について、$ N_{t-1}$について整理・変形すると。
$ n_t = p M + (q-p)N_{t-1} + \dfrac{q}{M} N_{t-1}^2$
となります。
このとき、$ a = p M \, , b = q-p \, , c = q / M$ と定義すれば、
$ n_t = a + b N_{t-1} + c + N_{t-1}^2$
となり、$ n_t$ を被説明変数、$ N_{t-1}$を説明変数として、この式を回帰分析すればよいことになります。
あとは、実際に回帰し、次式を解けば、$ M \, , p \, , q$ を得ることができます。
$ M = \dfrac{-b-\sqrt{b^2 – 4ac}}{2c}$
$ p = \dfrac{a}{M}$
$ q = p + b$
参考
上田 雅夫・生田目崇『マーケティング・エンジニアリング入門』
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