事業承継における親子トラブルの原因(これまでの経験から考察します)

概要

 事業承継における類型として、親族内承継・従業員承継・第三者承継の3つのパターンがあり、そのうち親族内承継がもっともやりやすいと言われています。

 確かに、

  ・後継者はある程度決まっている
  ・後継者も子供のころから覚悟もできていることが多い
  ・従業員などの納得感も大きい  など

の理由からです。

 ただ同時に、実は意外と、親族内承継は難しい面があります。それは、大塚家具の例にみられるように、親子間でトラブルが発生することが多いからです。

 私自身も、親である経営者と、後継者である子供が親子喧嘩をするのを、よく見てきました。

 この経験から、客観的にどうしてそうなるのか、逆にうまくいっている場合を説明します。

 実際は、親である経営者が亡くなったり、病気をして、経営から外れ、親子問題は解消する場合が多いように思いますが、それは良くないと思います。

 もし、事業承継を考えている方で当てはまるようならば、ご注意ください。

親(経営者)の原因

過去の成功体験

 親である経営者は、長年、経営を続けているため、ある程度の自負心があり、自分のやり方が正しいと思う傾向があります。

 ただ時代は変わる中で、子供である後継者は現在の潮流の中で経営・事業を考えているにも関わらず、親である経営者は、これまでのやりかたに固執することがあります。

 どちらが正しいのかは、会社によって異なりますが、当然ながら、経営方針や事業の進め方が異なるので、親子で対立が生じます。

過小評価

 「親にとっては子供はいつまでも子供」という言葉がありますが、親は適切に子供の力量を評価できていないことがあります。

 上記の「過去の成功体験」とも関連しますが、親である経営者は一定の自負があるため、子供の力量を過小評価する傾向があります。

 この結果、子供である後継者は自分の力を認めてくれないという思いが出たり、親である経営者は、力量不足で子供である後継者にはなかなか譲るのはできないという意識になります。

 中には、社長は交代するが、株は持ち続けるなどをしている経営者もいたりもします。

事業の方向性

 上記の「過去の成功体験」と似た話ですが、事業の方向性で相違があり、親子トラブルになっている場合があります。

 親子ですが、当然ながら、別の人格なのでやりたいことも違います。特に、子供である後継者は、親の事業を引き継ぐと同時に、自分自身で新しいことをやりたいと思うことも多いです。

 しかし、それを親である経営者は、自分のやり方を押し付けようとしたり、子供である後継者のやり方を認めないことがあります。

 そうすると、当然ながら、軋轢が生じ、事業承継はうまくいきません。

 大塚家具の場合は、このパターンに当てはまるのではないかと思います。

経営情報の秘匿

 全く会社の業務に携わっていない子供はもとより、会社の業務に携わっていても、会社の情報を子供である後継者が知らないということがあります。

 そしていざ事業承継となったとき、会社の経営状態が悪いと、子供である後継者は引き継ぎたくないなどとなり、軋轢が生じます。

 例えば、事業承継のため、家に戻ってきた後継者が、会社の実態を知り、事業は引き継ぎたくないと言い出した場合もありました。

子(公営者)の原因

甘え

 経営者なのですが、同時に親であるので、甘えが生じます。

 子供である後継者は会社の組織を考えると下の立場ですが、いい意味でも悪い意味でも、普通の会社ならば社長に言わないようなことも平気で言ったりもします。

 口答え・批判なども平然としたりもします。言い方としても、直接的な批判などになりがちになったりもします

 そうすると、当然ながら、喧嘩という事態になります。

親の苦労

 経営者と従業員は立場として、大きな一線があります。経営者には経営者にしか分からない苦労もあります。

 長年、親である経営者は、様々な苦労をしながら会社を維持してきたわけですが、子供である後継者はそのようなことを理解しないと、親である経営者のやり方などを軽んじて、軋轢が生じます。

両者の原因

 上記は喧嘩など顕在化したトラブルですが、コミュニケーションがないなど、一見トラブルになっていないが、問題が生じていることが多いです。また、日々の業務の話はするが、会社全体をどうするかなどを話し合っていないことも多いです。

 ただ、このようなときは、トラブルというよりも、事業承継の意思確認ができていない状態で止まっていることがほとんどです(事業承継の前の段階)。

うまくいっているパターン

親子で意識が一致

 上記で、経営方針ややり方が異なると、トラブルになっている話をしました。

 ただ逆に、親子で経営方針・やり方などが一致しており、子供も親をやり方を尊敬し、親も少しずつ仕事を子供に伝えながら、やっている場合は、ほとんど問題は生じません

 後継者が若いうちから、親の仕事を手伝っているような場合に、多いように思います。後継者が若いうちは、世間のことなど、あまり分からないので、当然、そのやり方が一般的だと思い、意識が一致するのだと思います。

子供への一任

 親が子供の力量を認め、子供にしっかりと任せるといった意識を持っている場合も、あまり問題はないように思います。

 中にも、「子供のほうが優れているから」と言って、事業承継の前から、実務をしっかりと任せていると、スムーズに事業承継は進みます。

子供への場づくり

 上記「親(経営者)の原因」の「事業の方向性」で述べたように、親と子供は別人格であり、方向性ややり方が異なることが多いです。

 ただ、親子で方向性が異なっていても、親は既存事業を担当し、子供は既存事業に関連性の高い新規事業を担当する場合も、うまくいっていることが多いと思います。

 子供としては、自身がやりたいことをやりながら、同時に既存事業の理解も進めていくので、スムーズにいきやすいのだと思います。

本当は…

 親子のトラブルやうまくいっているパターンを述べてきました。
 ただ、本当のところは、違う部分にあるような気がしています。

 親子の問題がありますが、実はうまくいっているところは、経営状態がいいところが多いように思います。

 逆に、うまくいかないところは、借金が多いなど、経営上の大きな課題を背負っていることも多いと感じています。

 経営状態がいいので、子供は親を尊敬し、子供としても安心して継ぎやすい傾向があるからです。また、経営的に余力があるため、子供が新しいことを始めたいと思ったとき、それを行うための投資もできたりもします。

 これらのことから、当たり前のことですが、

  親である経営者は経営をしっかりし、子供である後継者の存在・力量をしっかりと認めてあげる

  子供である後継者は、親である経営者のこと・これまでの経験などを認め、しっかりとコミュニケーションをとる
 
ということが大事だと思います。
(とはいえ、この当たり前が難しいのでしょうが…)

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