はじめに
厳しい経営状況の中、事業再生真っ只中の企業も多いと思います。
このようなときに欲しいと思うのは、「お金」であり、そのような補助金・支援策があればと思ってしまいます。
結論から言うと、
「事業再生に特化した補助金は、ほぼない」
と言えるでしょう(すべての自治体を調べたわけではないので、「ほぼ」という感じで、私の知っている限りはありません)
とはいえ、事業再生にあり、いわゆる「再生案件」であっても、
「補助金を受けることは可能です」
なぜ、このような補助金がないのか、それでも補助金を受けたい場合の注意点を述べたいと思います。
なぜ、事業再生に関する補助金がないのか
理由としては、いくつかあります。
①潰れたら困る
国や地方自治体などにとっては、補助を行ったが、結局は倒産に至ったというのでは、困ってしまいます。
補助してもらって、企業として存続させたいというのが、経営者の本音でしょうが、国や自治体からすると、企業が存続して始めて、補助の意義が出てくるのですが、そうでなければその意義はなくなってしまいます。税金の無駄遣いとも言われかねません。また経営状況が良くないところを補助して、あえて生存させることがいいのかという批判も出る可能性があります。
仮に企業の存続のためといったとしても、リスクが高いところに、補助はしにくいという考えもあります。
②資金の使い方
事業再生にあたり、補助金がほしいという経営者からしたら、欲しい資金は「運転資金」「返済資金」だと思います。
しかし、補助事業にあっては、あまり「運転資金」で使えるものはなく、返済資金のための補助はありません。
あくまでも補助金は「補助」であり、通常の事業活動に補助するのは、おかしいという考えからです。
このような点で、①とも関連しますが、仮に運転資金・返済資金以外の資金で補助したとしても、そのような資金に回る可能性が高く、国や自治体からしたら、補助しにくくなります。
③後払い
何らかの形で、事業再生に関して補助金ができたとしても、問題があります。
補助金の場合、通常は、前払いなどはなく、補助事業終了後の後払いという形が一般的です。そうしたときに、その後払いまでのつなぎ資金は、企業のほうで用意する必要があります。
ただ、事業再生で、資金繰りが厳しい企業が多い中、そのようなつなぎ資金を用意できるところは少なくなってしまいます。
④選考
また、予算に制限がある中、補助金の採択・不採択を決める必要があります。
ただ、国や地方自治体からすると、どのような企業を採択したらいいか、不採択にしたらいいかの選考基準を設けることが難しいとも言えます。
再建が可能ということでしたら、補助する必要はなく、再建が不可能という話でしたら、補助しても意味はないということなります。
予算が豊富にあれば、バラまくこともできますが、そのような予算を通常は用意できません。
再生中であっても使える補助金
ただ、事業再生に特化した補助金はありませんが、一般的な補助金は利用可能です。
例えば、国の補助金であれば、定番として、
・事業再構築補助金
・ものづくり補助金
・持続化補助金
・IT導入補助金 など
があります(例えば、「中小企業の生産性革命を応援します」を見てください)。
これらは、再生中であっても、一応は利用できます。
注意点
補助金の利用はできるのですが、上記で述べた部分もあり、注意が必要です。
①資金使途が限られる
補助金は運転資金には使えません。設備資金やPRのための補助となります。
②つなぎ資金が必要
後払いになるので、その間のつなぎ資金を用意しておく必要があります。
③採択で不利になる
審査において、財務状況を見られることがあるため、審査で不利に働く可能性があります。
(しっかりと財務的には大丈夫ということをアピールする必要があります)
まとめ
事業再生に関する補助金はありますが、補助金の利用が全くダメということはありません。
特に、事業再生においては、事業が毀損しているため、何らかの形で立て直しが必要であり、その際に補助金を使うのはいいと思います。
ただ、まずはリスケなどを実施し、資金繰りを安定させてから、行うべきです。
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