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所要運転資金を把握するための見方「収支ズレ」を説明します

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はじめに

 企業経営上、どれだけ運転資金が必要か、手元に現預金を残しておくかを把握することは重要です。

 もっとも簡単な方法は、月商の1・2か月分を現預金として持っておくというものでしょうか。
 しっかりと把握する必要があるならば、資金繰り表を作成するという方法もあります。

 ただ、月商の1・2か月分というのではざっくりとしすぎですし、資金繰り表を作成するのは大変です。特に、自社はいいのですが、他社の状況を知りたいときには、資金繰り表によるチェックは不可能です。

 そこで、どれだけの資金が必要かを知るための方法として、「収支ズレ」を説明します。

収支ズレ

 収支ズレとは、出金と入金との間の期間です。

 ある製品を製造・販売することを考えたとき、次の流れで行われます。

  ・仕入
  ・製造・在庫
  ・販売

 これを資金で考えれば、仕入代金の支払いまでの期間は、出金までの期間を指し、遅いほどよいことになります。
 逆に、製造・在庫期間を経て、販売代金の回収が行われるので、それらの期間は短いほうがよいことになります。

  ・仕入代金の支払い ⇒ 出金までの期間(長いほうがいい)
  ・製造・在庫    ⇒ 入金までの期間(短いほうがいい)
  ・販売代金の回収  ⇒ 入金までの期間(短いほうがいい)

 そして、この入金と出金の間の期間だけ、資金が必要となり、これを「収支ズレ」といいます。

 例えば、仕入代金の支払いは1か月後、製造・在庫期間は3か月、販売代金の回収は2か月とします。
 このとき、何か月分の資金が必要でしょうか。

 まずは、入金までの期間としては、5か月かかることになります。

  製造在庫期間3か月 + 販売代金回収2か月 = 5か月

 とはいえ、仕入代金の支払いは2か月後でいいので、

  製造在庫期間3か月 + 販売代金回収2か月 - 仕入代金支払1か月= 4か月

だけの資金を用意すればいいことになります。
 そして、この期間が短いほど、多くの資金は不要ということになります。

 なお、仕入については、仕入代金はあくまでも資金面のことであり、実際の材料費などは製造・在庫に含まれているので、注意してください。

回転期間

 収支ズレは、回転期間を見れば、簡単に計算できます。

 まずは、次の3つの回転期間を計算します。

  売上債権回転期間(月) = 売上債権(売掛金・受取手形など) ÷ 月商

  仕入債務回転期間(月) = 仕入債務(買掛金・支払手形など) ÷ 月商

  棚卸資産回転期間(月) = 棚卸資産(商品・仕掛品など) ÷ 月商

 これらはそれぞれ、月商に対して何か月分を有しているかを示しています。例えば、棚卸資産回転期間が3か月ならば、3か月分の在庫をもっているということです。

 これらを計算した上で、収支ズレは、次のようになります。

  収支ズレ(月) = 売上債権回転期間 + 棚卸資産回転期間 - 仕入債務回転期間

 例えば、受取手形の期間が長くなるほど、売上債権回転期間は長く、収支ズレは大きくなり、多くの資金を用意しておく必要があります。

まとめ

 経営上、受取手形の期間は短いほうがいいとか、在庫は少ないほうがいいなど、分かっている経営者も多いと思いますが、収支ズレは、これらを総合的に判断するものとなっています。

 所要運転資金を把握する上でも、知っておいて損はない考えです。

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