概要
国や自治体が出している補助金・助成金は、融資などとは異なり、返済が不要であるため、企業にとっては、非常にありがたい施策となっています。
ただ、「返済が不要」と言いましたが、実際は「返済が必要」なときがあったりもします。
その1つが「収益納付」です。
収益納付
収益納付とは、補助金を使って設備などを導入し儲けた場合に、返還が必要となるというものです。
「儲けたら、お金を返さなければいけないって、変じゃない?」
と思うかもしれません。
ただ、
・補助金で導入した設備などは単純にその企業のものではなく特別な扱いを受ける
(処分制限財産などの規定もあり、勝手に処分してはいけなかったりもします)
・そもそもの財源が税金なので、儲けは返還すべき
・(国・自治体などからすると)儲けたのだから、返してもらってもいいでのは
などの考えから、収益納付という制度があります。
例えば、「ものづくり補助金」の公募要領を見ましょう。
事業化状況の報告から、本事業の成果の事業化又は知的財産権の譲渡又は実施権設定及びその他当該事業の実施結果の他への供与により収益が得られたと認められる場合には、受領した補助金の額を上限として収益納付しなければなりません(事業化状況等報告の該当年度の決算が赤字の場合や十分な賃上げ(年率平均3%以上給与支給総額を増加させた場合や最低賃金を地域別最低賃金+90円以上の水準にした場合等)によって公益に相当程度貢献した場合は免除されます)。
このように、収益納付の必要性がしっかりと明記されています。
ただ、どんな場合でも、収益納付が発生するかと言えば、そういうわけではありません。
(補助金・助成金によって異なりますが)分かりやすい例として、「持続化補助金」の公募要領を見てみましょう。
【参考6】収益納付について
「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」等の規定により、補助事業(補助金の交付を受けて行う事業)の結果により収益(収入から経費を引いた額)が生じた場合には、補助金交付額を限度として収益金の一部または全部に相当する額を国庫へ返納していただく場合があります(これを「収益納付」と言います)。
本補助金については、事業完了時までに直接生じた収益金について、補助金交付時に、交付すべき金額から相当分を減額して交付する取扱いとなります。
なお、ここで言う「補助金により直接生じた収益」は、以下のようなケースを想定しています。<補助金により直接収益が生じる(⇒交付すべき補助金から減額する)ケースの例>
(1)補助金を使って購入した設備で生産した商品の販売・サービスの提供による利益(機械装置等費等が補助対象の場合)
(2)補助金を使って構築した自社のネットショップ(買い物カゴ、決済機能の付加)の活用での販売や、他社の運営するインターネットショッピングモールでの販売による利益(広報費が補助対象の場合)
(3)補助金を使って実施または参加する展示販売会での販売による利益(展示会等出展費等が補助対象の場合)
(4)補助金を使って開発した商品の販売による利益(開発費等が補助対象の場合)
(5)販売促進のための商品PRセミナーを有料で開催する場合に、参加者から徴収する参加費収入(借料等が補助対象の場合)
一般的には、次のようなものが、収益納付の対象になります。
・補助金を使って導入した設備を使って収益を上げた場合
・補助金により構築したネットショップから収益を上げた場合
・補助金として研究開発費を受領し、その製品が販売され収益を上げた場合 など
逆に言えば、補助金を使っても、例えば
・単なるPRのためのweb
・広告・チラシ
・試作品(販売しない) など
は、収益納付の対象外です。
また、(補助金・助成金で異なりますが)収益納付の算出方法の計算式もあったりもします。
まとめ
補助金などについて、あまり詳しくない方々は、是非とも知っておく必要があるルールです。
この点に注意しないと、返還が求められることもあります。
補助金・助成金がもらえるからと言って、単純に喜ぶのは注意が必要です。
補助金受領後も、例えば5年間は収益納付の適用を受けるなどのルールもあるので、しっかりと要領や手引きなどを読んで、対応してほしいものです。
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