概要
消費者が商品・サービスを購入するにあたり、どのような態度で商品・サービスを比較・検討するのでしょうか。
「価格が安いから」
「デザインがいいから」 など
各消費者によって、様々な視点があると思いますが、そのような視点を総合的に考え、消費者の態度を考えるのが「多属性態度モデル」です。
以下より、多属性態度モデルについて、その詳細を説明します。
多属性態度モデル
多属性態度モデルにおいては、消費者の態度は、複数の属性の信念で影響されると考えます。
そして、それらの信念を結びつけることで、全体的な態度が明らかになると考えます。
・属性 … 商品・サービスの属性
・信念 … 属性における消費者の認識
・重要性 … 各属性間の重要性
これでは、イメージが湧かないと思うので、多属性態度モデルの1つである「フィッシュバイン・モデル」で考えましょう。
フィッシュバイン・モデルでは、消費者がすべての商品・サービスについて属性の評価ができ、その属性への重みづけをすることで、態度スコアが求められるとするものです。
例
例えば、ある消費者のアルコールについての態度は、次のように表されます。
重要性 | 日本酒 | ビール | ワイン | |
---|---|---|---|---|
味 | 6 | 3 | 8 | 5 |
酔い具合 | 3 | 7 | 4 | 7 |
おしゃれさ | 8 | 2 | 5 | 9 |
価格 | 5 | 5 | 7 | 3 |
態度スコア | 80 | 135 | 138 |
ここで、日本酒で考えますと、この消費者は味は3点、酔い具合は7点、おしゃれさは2点、価格は7点と評価しています。
そして、味・酔い具合・おしゃれさ・価格の重みづけは、6、3、8、5となっています。比較的おしゃれさと味を評価する消費者となっています。
そうすると、
日本酒の態度スコア = 味3点×6 + 酔い具合7点×3 + おしゃれさ2点×8 + 価格7点×5 = 80
という形で、スコアが計算できます。
同様にビール・ワインも計算すると、この消費者は最もワインの態度スコアが高く、ワインを選択することになります。
この消費者に対して、日本酒を選ばせることは難しそうです。ただし、おしゃれなラベルなどを使ったビールを販売し、おしゃれさをアピールすることで、ビールに対する信念を1点でも上げることができれば、この消費者はビールを選択することになります。
重要性 | 日本酒 | ビール | ワイン | |
---|---|---|---|---|
味 | 6 | 3 | 8 | 5 |
酔い具合 | 3 | 7 | 4 | 7 |
おしゃれさ | 8 | 2 | 6 | 9 |
価格 | 5 | 5 | 7 | 3 |
態度スコア | 80 | 143 | 138 |
ポイント
このように、多属性態度モデルは、消費者行動のポイントを理解するのに分かりやすいと思います。
ただ同時に、実務的に使うには、多くのデータが必要、データの解析が必要など、難しい面もあります(逆に言えば、アカデミックな世界では、馴染みやすいのかもしれません)。
そして何より、消費者の態度が、このように論理的・合理的なのかというと必ずしもそうではありません。
(代替品の評価に関する消費者のルールについて)
とはいえ、1つの参考になる考えですし、競合相手との違いを考えるときには、主観的でもこのような考えのもと、分析してもいいかもしれません。
参考
松井剛・西川英彦(編著)『1からの消費者行動』
コメント