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代替品の評価に関する消費者のルールについて

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概要

 私自身もそうですが、消費者がいくつかある製品・サービスの中から選ぶ必要に迫られたとき、ある選択基準・選択ルールをもとに、どの製品・サービスを購入するか決定することになります。

 この選択基準・ルールについて、いくつかのパターンがあるとされており、紹介したいと思います。

補償型ルールと非補償型ルール

 まずは、選択ルールについて、補償型ルールと非補償型ルールに大別されるとされます。

補償型ルール

 補償型ルールとは、製品・サービスのある属性についてマイナス評価をしたとしても、他の属性でプラス評価があれば、そのプラス評価でマイナス評価を補うというものです(この意味で「補償型」と言われます。)。

(例)
 次のような場合には、各商品にはいいところ悪いところがありますが、総合点が最も高い「商品A」を選ぶことになります。

商品A 商品B 商品C
属性1
10
7
8
属性2
10
7
10
属性3
5
8
4
総合点
25
22
22

 なおこの考えは、経営学的には「多属性態度モデル」で利用されているような考えです。

非補償型ルール

 非補償型ルールは、補償型ルールとは異なり、全部の属性を比較検討するのではなく、その一部の属性だけ見て判断するというものです。

 補償型ルールは非常に合理的な人間を想定しているのですが、実際はそうではありません。
 人間は「ヒューリスティクス」と呼ばれる非合理な面があり、簡略化されたルールで評価検討を行います。

非補償型ルールのパターン

 非補償型ルールの典型的なパターンとして、5つあるとされます。

①連結型

 各属性について最低限満たすべき基準を設定して、1つでも最低条件を満たさないものがあるとき、その選択肢は外されるというものです。

(例)各属性について6点以上という場合
 「商品A」と「商品C」では6点未満の属性があるため、「商品B」が選ばれることになります。

商品A 商品B 商品C
属性1
10
7
8
属性2
10
7
10
属性3
 5 
8
 4 
②分離型

 各属性について受け入れ可能な基準が設定され、1つでも満たすものがあれば、他の属性に関係なく、その選択肢が採られるというものです。

 例えば、属性1と属性2は9点、属性3は6点ならば、受け入れるという基準を設けていたとしましょう。
 このとき、選ばれる順序が大きな影響を持つことになります。最初に「商品A」を見たとき、属性1・属性2は10点なので基準をクリアしているので、「商品A」が選ばれることになります。また最初に「商品B」を見たとき、属性3は8点なので基準をクリアしているので、「商品B」が選ばれることになります。最初に商品Cを見たとき、属性2は10点なので基準をクリアしているので、「商品C」が選ばれることになります。

商品A 商品B 商品C
属性1
10
7
8
属性2
10
7
10
属性3
5
8
4

 つまり、「1つでも満たすものがあれば」というのが選択ルールになっているので、比較的条件をクリアしやすく、製品・サービスを見た順序が大きな影響をもつことになります。

③辞書編纂型

 1番重要な属性に着目し、その属性で最も高いものが選択され、同順位ならば2番目に重要な属性で比較が行われるというものです。

(例)属性2を最も重視し、次に属性1を重視する場合
 属性2を見ると、「商品A」と「商品C」がいずれも10点で、その2つに選択を絞ります。次に属性1を見ると、「商品A」は10点、「商品C」は8点なので、「商品」Aが採用されることになります。

商品A 商品B 商品C
属性1
10
7
8
属性2
10
7
10
属性3
5
8
4
④逐次削除型

 「辞書編纂型」のように重視すべき属性の間で順序をあり、その重要性の高い属性について、「連結型」のように、最低限満たすべき条件をクリアしていないものを外していくというものです。

(例)属性1を最も重視し、次に属性3を重視する。そして各属性について7点以上を求める場合
 属性1を見ると、すべての商品で7点以上なので、すべての商品が選択肢に残ることになります。次に、属性3を見ると、「商品B」のみが7点以上いう基準をクリアするので、「商品B」が選択されます。

商品A 商品B 商品C
属性1
10
7
8
属性2
10
7
10
属性3
5
8
4
⑤感情参照型

 属性などは考えずに、過去の使用・経験などから、最も好意的なものを選ぶというものです。
 そして、過去の使用・経験だけではなく、ブランド・知名度・親しみやすさなどで選ばれる場合もあります。

 例えば、かつては缶コーヒーはCMが重要と言われたときもありました。属性に大きな違いがなく、消費者は他の選択ルールを使いにくく、この「感情参照型」の選択ルールで判断することになるため、CMにより知名度・親しみやすさを上げる必要があったのだと思います。

まとめ

 このように、消費者はいろいろなルールに基づいて、代替品の選択を行っています。

 ただ、同じ消費者であっても、そのルールに一貫性があるわけではなく、選択の順番によって、選択ルールが変わったりもしますので、注意が必要です。

 そうすると、このような話は無駄かといえば、そうではありません。
 製品・サービスによって、使われやすい選択ルール・使われにくい選択ルールがあったり、敢えて自社に有利な選択ルールで判断してもらうように、マーケティングを検討するということが可能になります。

参考

参考

松井剛・西川英彦(編著)『1からの消費者行動』”

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