概要
「70の法則」とは、元本が2倍になるような金利について、簡単に計算できる法則です。
式としては、次のようなものになります。
年数(年) = 70 ÷ 金利(%)
例えば、金利が5%のときには、次のように、14年で元本が2倍になります。
70 ÷ 5 = 14年
なお、ここで70という数字が使われていますが、代わりに72を使って、72の法則と言われたりもします。
実際の数値との比較
そしたら、実際にこの法則と数値がどれだけあっているのでしょうか。
計算すると、例えば、次のような数値になります。
金利 | 70の法則 | 実際の計算値 |
---|---|---|
必ずしも一致しているわけではありませんが、おおよそ近い数値であることが分かります。
導出方法
なぜ、このような法則が出てくるのか、数学的に導出方法を説明します。
元本を $ A$ 、金利を $ r$ 、年数を $ n$ 、$ n$ 後の元本の倍数を $ b$ とすると、
$ b A = (1+r/100)^n A$
が成立します。
$ A$ はキャンセルでき、対数化すると、次式が得られます。
$ \ln b = n \ln (1+r/100)$
そして、対数に関して級数展開をすると、
$ \ln b = n \cdot \left[ r/100 – \dfrac{(r/100)^2}{2} + \dfrac{(r/100)^3}{3} – \dfrac{(r/100)^4}{4} + \cdots \right]$
となり、$ r^2/2$ 以下の数値には非常に小さいので、省略すると、次のような近似式が得られます。
$ \ln b \simeq n \cdot r/100 $
そして、これを式変形すると、次式が成立します。
$ n = 100 \times \dfrac{\ln b}{r} \qquad \cdots \qquad (1)$
2倍になるときには、$ b=2$ なので、$ ln 2= 0.69314$ から、
$ n = 100 \times \dfrac{0.69314}{r} = \dfrac{69.314}{r}$
となり、70に近いような数値を金利 $ r$ で割れば、$ n$ 年で2倍になることが分かります。
他の法則
$ (1)$ 式を使えば、2倍になるような「70の法則」だけではなく、5倍になるような法則、10倍になるような法則が得られます(法則の部分について、近しい数値でもっともらしく述べています)。
倍数 | $ \ln b$ | 法則 |
---|---|---|
例えば、40の法則を使えば、金利が5%のときには、おおよそ8年で1.5倍になることが分かります。
まとめ
少々数学的でしたが、いかがでしたでしょうか。
70の法則自体、分かりやすく便利な部分もあるので、覚えておいてもいいと思います。
また、2倍では使いずらいという方は、上記の式のもと、自分だけの法則を考えてもいいかもしれません。
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