概要
大きな組織であったり、組織が大きくなると、社長がすべての部下の行動を管理することはできません。社長と部下の間をとりもつ中間管理職、ミドル・マネージャーの存在が必要になります。
ただその際に、これらの中間管理職、ミドル・マネージャーに対して、どれだけの部下を持たせればいいのかが問題になります。
1人の管理者で多くの部下を管理させることができればできるほど、管理コストが下がります。しかし、多くの部下を配置させた結果、管理ができなくなるようでは問題となります。
これを考えるのが、スパン・オブ・コントロール(span of control:管理の幅)です。
スパン・オブ・コントロール
スパン・オブ・コントロールとは、1人の管理者に対して、どれだけの人数の部下をもたせることができるかという問題です。
何となく、4・5人に1人の管理者を置けばいいと考えているならば、それは誤りです。
次の2点から、検討を加える必要があります。
・業務の難易度
・業務の不確実性
・部下への配慮
業務の難易度
業務が単純作業か、専門性が必要かで、スパン・オブ・コントロールは異なってきます。単純作業が中心ならば、管理の幅を広げることが可能ですが、専門性が必要であったり、複雑な業務でしたら、管理の幅を広げることはできません。
言い換えれば、定型的な業務が中心でしたら、管理の幅は広くとることができますが、非定型的な業務が中心でしたら、そうはいきません。
このことから、もし非定型的な業務が中心で管理の幅を広げる必要があれば、標準化・マニュアル化などを通じて、業務の定型化が必要になります。
業務の不確実性
外部環境や顧客などにおける不確実性の高さで、スパン・オブ・コントールは異なってきます。
不確実性が高いと、あらゆる状況に対応しなければならないので、管理の幅は狭くなります。逆に、不確実性が低く、業務の見通しが立ちやすいならば、管理の幅は広くとることができます。
上記の「業務の難易度」との関連で言い換えれば、不確実性が高いときには、定型的な業務は少なくなり、例外的な非定型な業務が増えるので、管理の幅は狭くなるということです。
部下への配慮
管理者を多くおけば、その分コストが増大します。このことから、1人の管理者に多くの部下を管理させたほうが合理的です。
ただ、業務の難易度・不確実性が低くても限界があります。
当然ながら、1人の管理者が管理できる範囲には限りがありますし、組織論においては、部下をいかに気遣うかという「部下への配慮」が組織のパフォーマンスに影響を与えることが知られていることから、一定の限度が必要です。
まとめ
組織づくりにおいて、スパン・オブ・コントロールを考えることは重要です。
そうでなければ、組織としてしっかりと管理できなかったり、管理者のコストが増大するからです。
組織によって、その幅は異なり、一意的な答えはありませんが、上記のようなポイントで組織を考えるということは重要です。
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