概要
VRIO分析は、リソース・ベースド・ビュー(RBV:resource based view)に基づいたフレームワークです。
企業の競争力を判断するにあたって、ポーターのファイブ・フォース分析などが外部環境に大きく注目するに対して、このリソース・ベースド・ビューでは、企業がもつ独自の経営資源の着目し、企業の競争力を判断します。
そして、企業の経営資源が競争力を有するかどうかを分析するのが、VRIO分析です。
VRIO分析
VRIO分析では、次の4つの視点で、自社がこれらの経営資源を有しているか、競争力を有しているかを検討します。
(VRIOは、これら4つの英語の頭文字から来ています)
・Value(経済的価値)
・Rarity(希少性)
・Imitability(模倣可能性)
・Organization(組織)
そして、これら4つが問題がなければ、自社の経営資源は持続的で、競争優位性があると考えます。
Value(経済的価値)
経済的価値とは、事業機会を活かし、売上・利益をもたらすことができるような経営資源(内部環境)を有しているかどうかを検討します。競争優位性を判断することになり、これがなければ、どうしようもないため、他の視点よりも重視されます。
希少性(Rarity)
希少性とは、経営資源が、市場において希少価値を有しているかどうかを判断します。あくまでも経営資源なので、製品・サービスだけではなく、営業力やノウハウなども含まれます。
ただ、単に希少価値を有しているだけでは偶々ということになるため、経営資源を自社でコントロールできているかがポイントになります。
模倣可能性(Imitability)
模倣可能性では、他社がその経営資源を模倣できるかどうかを判断します。その経営資源を有していない企業は、その経営資源を獲得するのに、困難もしくはコスト上で不利に働く場合、模倣困難性があるとされます。
製品・サービスの技術・開発力だけではなく、特許などの知的所有権、歴史・地理的な要因なども含まれます。
組織(Organization)
組織とは、経営資源を有効活用するため、組織的な方針・手続き・体制などが整っているかということです。
ただ、これらが単に整っているだけではなく、一部の人しか利用できない経営資源になっていたり、経営陣・従業員が自社の経営資源をしっかりと評価できていないと、組織としては、経営資源の有効活用を最大限に発揮できないことになります。
このため、意識改革・組織制度の改変・人材向上なども絶えず求められることになります。
一覧表
以上をまとめると、次のような表になります。
経済的価値(Value) | 希少性(Rarity) | 模倣可能性 (Imitability) |
組織(Organization) | 競争優位の状態 |
---|---|---|---|---|
× | 競争劣位 | |||
○ | × | 競争均衡 | ||
○ | ○ | × | 一時的な競争優位 | |
○ | ○ | ○ | × | 持続的な競争優位 |
○ | ○ | ○ | ○ | 経営資源の最大活用 |
まずは、経済的価値を有するかどうかを検討し、もし「×」ならば、「競争劣位」と判断されます。競争しようとしても勝負にならないので、ここで「×」ならば、この改善が真っ先に求められます。逆に、「○」ならば、競争する上での土台にのっているということで「競争均衡」にあるとされます。
次に、希少性を有すれば、他社に比べて特別な状態になるので「競争優位」にあるとされます。ただ、模倣可能性が「×」ならば、他社も真似をすることができるので「一時的な競争優位」になり、「○」ならば他社は模倣ができないので「持続的な競争優位」にあるとなります。
最後に、組織としても問題がなければ、「経営資源の最大活用」が図られていると考えられます。
テンプレート
このVRIO分析について、エクセルのテンプレートをつけておきます。
このテンプレートでは、内容はもとより、評価欄、そして評価がよくない場合の課題欄もつけてあります。
なお、縦軸としては、会社全体で行うのではなく、製品・サービスごとやバリューチェーンごとに行うことを想定しています。
無料ですので、お気軽にご利用ください。
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