産業構造の五類型
マーケティングの大家であるフィリップ・コトラー(Philip Kotler)は、売り手の数と製品の差別化で、産業構造を5つに分類しています。
売上1社 | 売り手少数 | 売り手多数 | |
---|---|---|---|
製品の差別化なし | 純粋独占 | 純粋寡占 | 純粋競争 |
製品の差別化あり | 製品差別化のある寡占 | 独占的競争 |
各類型の特徴
純粋独占
国・地域の中である製品・サービスを供給する企業が1社のみの場合です。
規制や規模の経済などから生じる現象で、規制の対象とならなければ、最低限のサービスで、高価格で利益を最大化すると考えられます。ただ、規制の対象となれば、公共の利益という観点から、低価格やよりよりサービスが求められます。
(例)水道企業、ガス会社 など
純粋寡占
同じ製品・サービスを供給している企業が少数の場合です。
サービスでの差別化ができないときは、価格以外に優位性を保つ手段はなく、そのためにコスト削減が重要になります。
(例)石油会社、鉄鋼会社 など
製品差別化のある寡占
ある程度、同じような製品・サービスを供給しているが差別化されており、その供給企業が少数の場合です。
製品・サービスの水準で差別化を行うとともに、これらの中から、リーダーシップがとれるような属性、顧客から支持が得られるような属性を得られるように努力します。
(例)自動車メーカー、携帯電話会社 など
独占的競争
製品・サービスについて差別化が行われているが、その供給者が多数の場合です。
各社は、顧客のニーズに合わせた製品・サービスを提供することになります。
(例)飲食店、美容院 など
純粋競争
同じ製品・サービスを多くの企業が供給している状態です。
どの企業で作っても同じであるため、価格も同じになるため、生産コスト・流通コストの削減がポイントになります。
(例)農産物 など
まとめ
経営を行うにあたって、自社がどのような産業に属しているか、新たに参入をしようとしたとき、どのような産業構造なのかを把握することは重要です。
そして独占などの言葉が出てくると、大企業だけの話で中小企業には関係ないように思います。確かに中小企業においては、独占的競争か純粋競争が多いことは確かです。
しかし、地方に行けば行くほどライバルも少なく、その地域では実は、純粋独占や純粋寡占などの産業構造を有していることもあります。
例えば、コンビニなどは、都会は勿論、ある程度の規模の都市であれば当たり前の存在でしょうが、コンビニが1店もない町村もあるということを忘れてはいけないでしょう。
参考
フィリップ・コトラー『マーケティングマネジメント』
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