はじめに
自社の製品・サービスにおいて、どれだけのブランド力があるかを知ることは重要です。
ただ、ブランド力といっても、どの程度そのブランドが知られているか、ニーズがあるかなど、いくつもの視点があります。
そこで、ブランド力を評価するにあたってのいくつかの視点を説明します。
視点
ブランド知名率
ブランド名とパッケージなどを消費者がどの程度、知っているかという視点です。
あるブランドの製品・サービスを販売しようと思っても、ブランド名やパッケージを知らなければ、そもそも消費者は購入することはありません。仮に購入があったとしても、偶々であったり、他の製品・サービスと区別するというブランドそのものの機能を発揮していないことになります。
このことから、ブランド知名率(認知率)がどれだけであるかを知り、ブランド知名率を高めていくことが必要になります。
ただ、このブランド知名率には、次の2つがあります。
再生知名率(アンエイデッド・リコール:unaided recall)
これは、ある商品・サービスのカテゴリーを提示したとき、消費者が自由に想起するブランド名の出現率です。
例えば、「ペットボトルのお茶で知っている銘柄をすべて挙げてください」などといった形で確認します。
そして、挙げられた順位ごとに数字をカウントし、出現率を計算します。特に、最初に挙げられたブランドは第1再生と呼ばれ、第1再生率が高いブランドは購買に結びつくことが多いとされます。
再認知名率(エイデッド・リコール:aided recall)
調査員が提示したブランド名を知っているかどうかを確認し、知っていると答えた率です。
通常は、再生知名率よりも、この再認知知名率のほうが高くなります。
なお調査にあたっては、ブランド名だけではなくパッケージなども一緒に確認するのが望ましいとされています。なぜなら、誤解などがあり、消費者の認識としてブランド名とパッケージが一致していない可能性があるからです。
ブランド態度
消費者が、ある製品・サービスのブランドに対して、どのような考えをもっているかどうかという視点です。
例えば、
「好き」「嫌い」
「好ましい」「好ましくない」
「買いたい」「買いたくない」
「人に勧めたい」「人に勧めたくない」
などを質問し、確認することになります。
当然ながら、ポジティブな回答が多ければ、購入に結びつく可能性が高くなり、ネガティブな回答が多ければ、製品・サービスの改善を含めて、課題を有していることになります。
ブランド購入意図
ある製品・サービスのブランドをどれだけ購入したいと考えているかという視点です。
上記のブランド態度の1つですが、これを確認することで、直接的な測定が可能になります。
通常は、5段階評価(もしくは7段階評価)で、次のような設問で行われます。
「1.必ず買いたい」
「2.買いたい」
「3.どちらともいえない」
「4.買いたくない」
「5.まったく買いたくない」
これにより、購入意図率を確認することになりますが、特に「1.必ず買いたい」は、トップボックスと言われ、購入の可能性が高いため、他の回答に比べ重要とされます。そして、この場合には、価格も提示して質問したほうが正確な回答が得られます。
ポジショニング(イメージ)
製品・サービスについてのブランド・イメージを調査するというものです。
例えば、「元気な」「おいしそう」「使いやすい」「私に合った」などの形容詞を消費者に提示して、「そう思う」「そう思わない」などの反応を確認することになります。
また、「明るい」「暗い」などの対になった形容詞を提示することもあります。
参考
岸志津江・田中洋・嶋村和恵『現代広告論』
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