概要
世の中には、「サービス」が溢れています。
学校では教育というサービスを購入し、髪を切るときには、理容や美容というサービスを利用します。
そして、サービスは、有形な物とは異なる特性があります。何よりも、物は形がありますが、サービスには形がないということでしょう。この点も踏まえ、有形財とは5つの点で異なるとされています。
サービスの特性
①無形性
有形財と異なる点として、まず挙げられるのが、サービスには形がない・無形であるということでしょう。
このことから、有形財では可能なことがサービスでは難しいといえる点が出てきます。
有形財は、試供品・サンプルなどで事前に体験が可能であったりしますが、サービスでは同一のものを体験することは難しい点があります。
このことから、有形財以上に広告やプロモーションが難しいというのもサービスの特徴となります。
②品質の変動性
有形財では、(手作りでは若干違いますが)画一された生産プロセスを経て、標準化された製品を提供することが可能ですが、サービスではそれは難しい面があります。
例えば、遊園地もサービスですが、人込み・天候などで、そのサービスの楽しみ方やサービスの水準などは変わってきます。同じ経営コンサルタントでも、人によって、その内容は大きく変わりますし、同じ人でも得意分野でサービスの水準が異なったり、相談者によってその対応も違ってきます。
③不可分性
有形財においては、生産・販売後にその財の購入者は消費することになりますが、サービスにおいては生産と消費が同時に行われます。
例えば、美容室に行けば、美容師は髪を切るというサービスの生産を行い、同時にその利用者は髪を切られるという消費を行うことになります。
このため、有形財であれば商社や卸売業者などが介在することが可能ですが、サービスは移動や保存が難しく、サービスの流通は単純で行われにくい面も出てきます。もちろん、保険代理店などもように仲介業者も出てくることもありますが、有形財のように複数の卸売業者が介在するなどという例は少なく、流通段階も単純になる傾向があります。
④消滅性
有形財は保存することができますが、サービスは保存することはできません。
例えば、ホテルの空き室は翌日などの別の機会に残しておくことはできず、そこで得られたであろう収益を取り返すことはできません。
このため、サービスにおいては、有形財以上に需要と供給の管理が重要になります。
⑤需要の変動性
サービスの需要は、季節・週・1日の時間帯などによって、大きく変動する傾向があります。
上記の消滅性の話でも同様ですが、このように変動が大きいため、サービスの需要・供給の管理は重要になってきます。
まとめ
以上をまとめると、次のような表になるでしょう。
有形財 | サービス | |
---|---|---|
①無形性 | 有形 | 無形 |
②品質の変動性 | 少ない | 大きい |
③不可分性 | 生産・消費が分離 | 生産・消費が同時 |
④消滅性 | 保存できる | 保存できない |
⑤需要の変動性 | 少ない | 大きい |
このことから、サービスの販売やPRにあたっては、有形財の手法をそのまま利用してはうまくいかないことが予測されると思います。
このような5つの特性を理解した上で、サービスの特性にあった販売やPR方法が重要となります。
参考
和田充夫・恩蔵直人・三浦俊彦『マーケティング戦略』
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