ダイナミック・プライシング
価格戦略の1つとして、「ダイナミック・プライシング」というものがあります。
ダイナミック・プライシングと聞くと、特別なものに思うかもしれませんが、宿泊施設の休日割引、スーパーの閉店間際の割引など、様々なところで使われている手法です。
ダイナミック・プライシングを定義づけると、次のようになります。
「需要・供給に合わせて、価格を変動させ需要を調整すること」
ダイナミック・プライシングの効果
ダイナミック・プライシングの効果について、企業・消費者に分けて整理すると、次のようになります。
企業
ダイナミック・プライシングを導入することで、企業にとっては、次の2つがの効果があるとされます。
①需要の調整による利益の最大化
何よりも、ダイナミック・プライシングを使うことで、細かな価格設定を行うことになり、利益の最大化を図ることができます。
下の左図のように、通常は1つの価格しかないのに比べ、ダイナミック・プライシングを使うと右図のようになり、利益を大きくすることができます。
②稼働率を高める、廃棄コスト削減など、資源の有効利用化
①と関係しますが、ダイナミック・プライシングを導入することで、需要を調整できるため、遊休資産の稼働率を上げるなどができ、利益を上げることができます。
消費者
消費者にとっては、ダイナミック・プライシングにより、次の2つの効果があります。
②価格低下
ダイナミック・プライシングにより、需要が低下しているときには、価格は低下するので、消費者は安価な価格で商品・サービスを利用できます。
②サービスの満足度の維持
ダイナミック・プライシングにより、需要が平準化されるため、繁忙期の需要は減少します。繁忙期であっても、比較的満足度を維持したままサービスを利用できます。
価格の替え方
ダイナミック・プライシングを導入することで、価格を変化させることなるのですが、価格の替え方について、次のようなパターンがあります。
・季節・曜日
・天候
・鮮度
・人気度
・入手までの時間
・希少価値
・直前の売りゆき
・購入者の属性(価格感度) など
ただ、ダイナミック・プライシングは、企業の利益を最大化するという効果が大きく、消費者よりも企業のほうにメリットが大きいです。そのため、消費者は不公平感を感じやすい面があり、上記の替え方について、納得感が得やすいものとそうでないものがあります。例えば、鮮度や季節などは不公平感は感じにくいのですが、購入者の属性や買い物履歴などは、消費者にとって、納得がいきにくいとされています。
参考
上田隆穂『利益を最大化する 価格決定戦略』
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