「経験価値」を提供する

概要

 従来、商品やサービスについて、その機能・品質などが重視されてきました。
 しかし、これまでの機能や品質を重視する消費者の消費スタイルから、新たな消費スタイルが登場しています。

 それに呼応するように、マーケティングにおいては、次のような言葉が生まれたりもしています。

  ・「モノ」から「コト」
  ・「体験を売る」
  ・感性商品   など

 これらはいずれも大事なのですが、このような考えをまとめたものが、経験価値マーケティングだと思います。

経験価値

 経験価値とは、シュミット(B.H.Scmitt)が唱えた概念で、

  「商品・サービスについて、現在の消費者は機能的価値ではなく、経験価値を求めている」

というものです。

 そして、この経験価値については、次の5つがあると提示しました。

  ①Sense(五感)

  ②Feel(喜怒哀楽)

  ③Think(考える)

  ④Act(行動する)

  ⑤Relate(他人と交流する)

 次で、それぞれについて、例を挙げながら説明したいと思います。

5つの経験価値

①Sense(五感)
 視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚などの感覚のことです。
 現在の消費者は、これまでの機能的価値ではなく、このような感覚も重視したり、これまでもこのような部分が大事であったものが一層、大事にされているということを表しています。

 例えば、ある製品を考えたとき、従来は機能だけでよかったのですが、デザインなどがより一層大事になったりもしています。また、飲食店などでは従来から味覚は大事な要素でしたが、現在ではインスタ映えのように見た目も重視されたり、シズル感などのこれまでとは違ったPRなども大事になったりしています。

②Feel(喜怒哀楽)
 喜び・怒り・哀れみ・楽しさなどの感情のことです。
 これまでも、消費者がある商品を購入したとき、これまでも楽しい・うれしいなどの感情が湧いたと思います。しかし現在では、その商品の機能ではなく、その感情を想起させるようなマーケティングが必要になったり、その感情自体が商品・サービスになったりもしています。

 例えば、クラウドファンディングなどは1つの例でしょう。経営学的に言えば、1つの資金調達の手段であり、そのスポンサーを求めているサービスと言えますが、「応援する」という感情を同時にPR・販売しているサービスと言えます。

 また、子供のランドセルを小さくリサイズするというサービスなどもあり、これは思い出という感情を売っていると言えるでしょう。

③Think(考える)
 この言葉の通り、考えたり、知的好奇心のことです。
 従来から、本・雑誌などを読んで考えたり、知的好奇心を満たすということはありました。しかし現在では、従来は機能的価値しかなかったようなものに、この考えるという要素が付け加えられた商品・サービスが求められています。

 例えば、ワインを飲むというのは単に味を楽しむということでしかすぎません。しかし、ソムリエなどにみられるように、そのワインに関する知識などを提供することで付加価値は高まったりもしています。
 伝統工芸などにしても、その工芸品自体だけではなく、その背景にある歴史や手作業の工夫などを伝えることが重要になってきています。

④Act(行動する)
 行動・体験するということです。
 「モノ消費」から「コト消費」、「体験を売る」などといった言葉は、この行動するという経験価値に当てはまるでしょう。

 これは小売店などのお店だけの話ではなく、例えば、「ポケモンGO」のように、ゲームでありながら、ゲームだけに閉じず、いろいろなところを動き回るという要素が加わったサービスなどもあります。

⑤Relate(他人と交流する)
 他人と交流するとは、言葉の通り、他人とのコミュニケーションが重視されたり、他人とつながるというのが大事にされるということです。

 分かりやすいのが、SNSでしょう。コロナウィルス禍でオンライン化が進んだといえるでしょうが、同時にこれは、他人と交流するという経験価値を求める消費者のニーズがコロナウィルス禍で顕在化したともいえると思います。

まとめ

 この5つの経験価値は、現在ではいずれも非常に大事な要素です。

 新たな商品・サービスを提供するといったとき、これらの価値を意識することは非常に重要ですし、既存の商品・サービスにこれらの価値の要素を付け加えると、消費者ニーズに合った新たな商品・サービスが提供できるのではと思います。

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