概要
ある投資を考えたとき、その投資が妥当かどうか、儲かるかどうかの判断が必要になります。
その方法として、正味現在価値法(NPV法)があります。
基本的な考えは、次を計算し、どのぐらい儲かるのかを判断することになります。
将来の収益 - 投資額
ただ、この将来の収益を考えるにあたって、時間の概念を用いているので、少々ややこしいですが、説明したいと思います。
正味現在価値法(NPV法)
正味現在価値(Net Present Value)とは、ある投資をしたとき、将来得られる利益を計算したものです。
(なお、NPV法のNPVは、Net Present Valueの頭文字をとったものです)
ただ、将来の利益なので、その利益は割り引き、現在の価値に直すことになります。
0期に投資を行い、その1期後から$ t$期まで、毎期利益$ P_t$を得られるものとします。
このとき、割引率を$ r_t$とすると、
1期の利益 : $ \dfrac{P_1}{1+r_1}$
2期の利益 : $ \dfrac{P_2}{(1+r_1)(1+r_2)}$
$ \vdots$
t期の利益 : $ \dfrac{P_t}{(1+r_1) \, \cdots \,(1+r_t)}$
という形で、各期の利益が得られます。
ここで、割引率 $ 1+r_i$ を毎期一定とすると、
1期の利益 : $ \dfrac{P_1}{1+r}$
2期の利益 : $ \dfrac{P_2}{(1+r)^2}$
$ \vdots$
t期の利益 : $ \dfrac{P_t}{(1+r)^t}$
となります。
このとき、将来得られる利益を合計したものに投資額を引けば、0期における正味現在価値は、次式のように計算されます。
$ \displaystyle NPV = \sum^{t}_{i=1} \dfrac{P_i}{(1+r)^i} – I$
更に、毎期の利益を一定とすると、
$ \displaystyle NPV = P \cdot \sum^{t}_{i=1} \dfrac{1}{(1+r)^i} – I = P \cdot \dfrac{1-(1+r)^{-t}}{r} -I$
となります。
そして、NPVがマイナスのときは投資額を回収できないので、投資は不採択となります。
逆に、NPVがプラスのとき、黒字が予想され、投資を採択することになります。ただ、NPVがプラスであっても、そのプラスが小さければ、再検討の余地があるといえるでしょう。
補足
上記では、期間を $ t$ 期までとしましたが、無限大までの期間を考えたとき、NPVは次式のようになります。
$ \displaystyle NPV = \dfrac{P}{r} -I$
日々の実務ではこの式を使うことはないでしょうが、企業価値・株価の算定にあたっては、このように、無限大まで期間を考えるパターンが出てくるので、頭の片隅に置いておいてもいいかもしれません。
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