概要
「自計化」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
「自計化」とは、これまで税理士などに任せていた記帳や会計処理を、自分で行うことです。
中には、そんなのは「自分で行っている」という方もおられるでしょうし、逆に「そんなの面倒」という方もいるでしょう。
ただ、経営的には、もし税理士に記帳などを任せているとしたら、自計化を考えてもいいと思います。
税理士の役割
まずは、税理士の業務として、どのようなものがあるかを説明します。大きく分けると、次の3つがあります。
①記帳代行
取引などの帳簿を記帳してもらうことです。
②申告代行
税務署などへの申告の手続きをやってもらうことです。
③税務アドバイス
税金に関するアドバイスを受けることです。
このうち、「自計化」は「①記帳代行」を自社で行うというものです。
なお、「②申告代行」「③税務アドバイス」は税理士の独占業務であり、税理士でしかできませんが、「①記帳代行」は独占業務ではないので、事務代行業者にお願いしていることがあるかもしれません。このような場合も、できたら、自社で行うことをお勧めします。
自計化
メリット
なぜ、「自計化」を勧めるのかと言いますと、次のようなメリットがあるからです。
①経費削減
何よりも、経費削減につながります(勿論、自社で行う業務は増えますが)。
ただ、近年は、クラウド系の会計サービスも充実しているので、比較的簡単に記帳などはできるようになっています。
特に、請求書などの書類を簡単に作成できるサービスもあるので、IT化という観点からもお勧めであり、記帳以外の業務の効率化も図れることになります。
情報把握
経営的にお勧めなのが、自社で記帳を行っていると、素早い情報把握ができるという点です。
記帳代行を税理士に任せていると、月々の結果(月次の試算表)が分かるのが遅れてしまいます。
税理士にもよりますが、1・2か月後に、月次の試算表が上がってくるというところもあります。これでは、月次の経営状況が1・2か月後にならないと分からないということで、どうしても現状把握・情報把握も遅れてしまいます。
しかし、自分で記帳していれば、(個人でやっていて面倒だとかは抜きにして)そんなことはないと思うので、素早く現状の経営状態を把握できます。
(なお、自計化をせず、記帳代行を引き続き、税理士にお願いするにしても、翌月10日・15日までなど、早めるように交渉はしてください)
デメリット
逆にデメリットは、上記の通り、自社で記帳を行うことになるので、業務量は増えるということになります。
(会計知識が乏しい、クラウド系の会計サービスに慣れていないなどの場合には、それらをマスターする時間も必要になります)
この点で、個人で仕事をしていると、自分で記帳するよりは、他にお願いしたほうがいい場合もあります。
ただ、従業員数で言えば、数人から十数人の事業規模に達すれば、業務量は増えますが、会計業務だけで1・2人の工数は発生するので、自計化をしたほうがいいように思います。
最後に
決して、税理士の記帳代行という業務を否定するわけではありません。
税理士によっては、記帳代行を行っておらず、税務アドバイスなどに特化しているところもあったりもします。また、自計化のやり方をアドバイスしているようなところもあります。
ただ、経営面を考えたとき、自計化は重要だと思っています。
是非とも、自計化を検討してはいかがでしょうか。
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