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教科書的な財務指標は不要! 実務家による財務諸表の見方・財務分析の仕方を教えます

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はじめに

 財務分析を初めて学んだとき、いろいろな財務指標を勉強しました。

 しかし、長年、中小企業のサポートを行う中で、財務諸表を見ることも多いのですが、それらの指標を見ても、

  「財務指標は、ポイントがズレている」
  「財務指標は、面倒なわりに、役に立たない」

とも感じています。

 実際に、実務では、いちいち指標を計算して、財務状況を判断することはありません。
 いきなり、財務諸表をみることも多いので、そんな計算などはしてられないからです。
 (もちろん、しっかりと見る必要があったり、顧客にもっともらしく説明したりするために、使ったりもしますが)

 そこで、財務のポイントを知りたい方々に向けて、財務諸表から経営状況を判断するにあたり、実務的なポイントを説明します。

ポイント

 いくつかのポイントがありますが、とりあえず8つほど、重要なものを説明します。
 なお、説明の順番は、実務的に見ていく順序でもあるので、その点もご注意ください。

①利益

 まずは何よりも、黒字で利益が出ているのか、赤字ではないかを見ます。
 とはいえ、利益としても、いろいろとありますが、「営業利益」「粗利(売上高総利益)」あたりを中心に見ます。

 経常利益・税引前当期純利益など、他の利益もありますが、事業としても儲けているかどうかが重要なので、営業利益と粗利を最も重視してみます。

②売上高の変化

 売上高としては大きいほうがいいのですが、単年だけでは、いいのか悪いのかは分かりません。

 そこで、売上高が増えているのか、減っているのかで、経営状態がどうであるのかを判断します。

③借入金

 借入金がなければ問題はないのですが、借入金があるのでしたら、多いのか少ないのかを見ます。

 また、中小企業では、役員借入金も多いので、そのあたりもチェックします。もし、借入金が多くても、それらが役員借入金ならば、返済はあまり気にしなくてもいいからです(いわゆる「中小企業特性」というやつです)。

④グロスキャッシュフロー

 グロスキャッシュフローとは、当期純利益に減価償却費を足し合わせたものです。

  グロスキャッシュフロー = 当期純利益 + 減価償却費

 減価償却費は、非現金支出費用(費用として計上されるが現金は減っていないもの)なので、これを見ると、ざっくりと最終的にその会社にお金が増えているのか減っているのかが分かります。
 そこで利益が赤字であっても、このグロスキャッシュフローがプラスならば、とりあえずはお金が増えているので、問題はないと考えます。

 ただ、このグロスキャッシュフローから、借入金の返済も必要なので、もう一度、借入金を見直したりもします。

⑤現預金

 資金繰りを考えると、現預金として、どの程度の余裕があるのかを見るため、この残高をチェックします。

 当然ながら、決算の一時的な残高であるため、年度途中の資金繰りはここからは分かりませんが、あまりにも少ないと問題であるため、チェックが必要です。

⑥粗利率(売上高総利益率)

 上記の順番で、財務を見ていくのですが、ここでやっと利益率を見ます。
 通常で言えば、儲かっているかどうかの判断から、もっと前に見るという人が多いかもしれません。

 しかし、しっかりとした理由があります。上記は、経営状況がうまくいっているかどうかを判断するためのものです。
 そして、経営状況を踏まえたうえで、「どうしていくべきなのか」を考えるためには、ここで初めて粗利率の確認ということになります。

 業種によっては、ある程度分かるものもありますが、詳しくない業種だと変化などを見たりもします。

⑧費用

 利益をアップさせるための一番の方法は、コストカットです。
 そこで、費用について、大きな費用は何か、販管費などを見たりしながら、チェックします。大きな費用については、当然ながら、改善の優先順位が高くなります。

⑧(現預金以外の)流動資産

 売掛金・受取手形・在庫などが多いと、資金繰りが悪くなったりします。また、実は売掛金などで貸倒れしていたり、在庫で陳腐化しているにもかかわらず、処理がなされていないことがあります。

 そうすると、本来は費用処理すべきなのにされていない、実質債務超過の可能性もあるということで、チェックを行います。

まとめ

 ときには財務指標なども使いますが、いかがでしょうか。
 
 一応、①~②で儲かっているかどうかを判断し、③~⑤で会社が継続可能かを判断し、⑥~⑧で今後どうすべきなのかの判断材料を求めている形になっています。
 (このように言うともっともらしいのですが、このような順序になったのは、長年の経験でいつの間にか身につけたという形ですが…)
 
 これだけでも、ポイントは押さえられると思うので、是非とも、参考にしていただければと思います。

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