はじめに
決算書を見ていると、減価償却費というものが出てくることがあると思います。また、減価償却という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。
ただ、そもそも
「減価償却費って、何?」
という方のために、基本的な考え方を解説したいと思います。
減価償却費
基本的な考え方
工場を購入したとしましょう。
当然ながら、これは経営上は、費用と考えられますが、会計上はどのように計上したらいいでしょうか。
大きく分けると、2つの方法が考えられると思います。
①方法1
購入した年に一気に費用とする
②方法2
数年にかけて費用とする
「方法1」の場合は、確かに、購入した年にお金も払っており、工場自体も入手しています。
ただ、このままでは、その企業はその年、大きな赤字を計上してしまうことになります。それでは、本当にこの企業が儲けているのか分かりにくくなります。また、工場は今後も何年も使い、どんどんと価値がなくなることを考えると、購入した年だけ、費用として計上するのは変な感じがします。
そこで、会計上は「方法2」の考え方が採用されており、これが減価償却というものです。
年数
「方法2」を採用するとして、
「何年間、費用としたらいいの?」
という疑問が生じます(違う言い方をすれば、「何年で資産として価値がなくなると考えたらいいの」ということです)
このとき、税金的に、購入した資産ごとに「耐用年数」という形で、年数が決められています。
例えば、鉄筋コンクリートの事務所の建物は、50年となっています。
(他の資産について知りたければ、例えば「主な減価償却資産の耐用年数表」を見てください)
例
ここで、具体的な例で話したいと思います。
例えば、X1年1月1日に、1,000万円の機械を購入したとしましょう(耐用年数は5年)。
このとき、毎年の減価償却費は、200万円になります(定額法)。
毎年の減価償却費 = 1,000万円 ÷ 5年 = 200万円
費用としては、次のように、毎年200万円を減価償却費として計上していきます。そして、5年が経過したら、この機械の購入費はすべて費用として計上しつくしたので、X6年の減価償却費は0万円になります。
X1年:減価償却費 200万円
X2年:減価償却費 200万円
X3年:減価償却費 200万円
X4年:減価償却費 200万円
X5年:減価償却費 200万円
X6年:減価償却費 0万円
他方、機械という資産の価値は、この減価償却費だけ価値が減少していきます。
(なお、X1年に800万円になっているのは、X1年1月1日に購入し、1年分この機械を使用しているためです)
X1年:機械 800万円
X2年:機械 600万円
X3年:機械 400万円
X4年:機械 200万円
X5年:機械 0万円
最終的には、X5年には、この機械は、「会計的に」価値がなくなります(あくまでも「会計的に」であり、この機械が使えない、使うなというわけではありません)。
まとめ
まとめると、減価償却費は、資産について
・複数年にわたり、費用としていく
・資産の価値を複数年にわたり、小さくしていく
という会計上の方法・ルールです。
なお、入門者向けなので詳細は省きますが、あくまでも、会計上の話なので、実際の資産がどうであるかとは違いますし、お金の流れも違うので、注意が必要です。
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